胃のむかつきというと、胃が悪いのではないかという感じを受けるでしょうが、そんなことばかりてはありません。

首のコリによって起こる、胃のむかつき、吐き気、食欲不振という場合もあります。

そもそも、消化管の自律神経のうち、副交感神経は脳神経で、迷走神経と言います。

脳底(脳が収まっている頭蓋骨の下側)から出た迷走神経は消化管をまといながら、食道→胃→十二指腸→小腸→大腸に達し、盲腸を通り過ぎて上行結腸まで支配しています。因みに、ここから後は仙骨神経の支配です。

そんなに下まで支配しているわけですから、首がおかしくなれば消化に関わる器官が不調になることはあたりまえですね。

もちろん、胃の実質がおかしい場合もありますので、全てに当てはまる場合ばかりではないので、お断りしておきます。

そもそも、病というものは初期の場合、感覚の異常によって気がつくものです。

感覚の次は機能、そして細胞や組織の異常と進みます。

感覚の鋭い方ほど早期に発見に至りますが、鈍い方や我慢強い方は発見が遅れて重症に陥ることが多いようです。

こういったことは、その方の生き方にまつわる習慣や、生まれもった感性に依って個人差があるため、万人に共通する尺度がないのは残念なところです。

我々は診察の訓練を重ねているので、ある一定の傾向をとらえることはできる自負がありますが、指標の一般化にはまだ道のりが遠いので、今後の科学の発達に期待するところです。

さて、胃のむかつきに関して、胃酸の分泌、胃炎、胃酸の逆流、食あたり、腫瘍など、様々な可能性は否定できません。

ですから多くの方の第一選択が消化器内科となることは当然と思います。

とはいえ、首のコリという要素も関係する場合があることも、可能性として加えていただけると幸いです。